抜くことより難しいのは、抜いたあとを決めること
抜去そのものは難しくありません。判断が要るのは、被膜をどうするか、余る皮膚をどうするか、そして抜去後の形をご自身が受け入れられるかです。バストだけを20年見てきたU&U美容外科が、決める順番どおりにご説明します。
抜去を考える理由は一つではありません
破損が確認された場合、被膜拘縮で硬くなって痛む場合、年数が経って入れ替え時期になった場合。ここまでは医学的な判断が先に立ちます。一方で、もう維持したくない、生活が変わった、最初の選択を戻したい。こうした理由でお越しになる方も多く、これも十分な理由です。
理由が何であれ、確認の順序は同じです。まず超音波で今のインプラントと被膜の状態を見ます。シリコンインプラントは症状のないまま破損が進むことがあり、不快感がないから正常だとは言いきれないんです。状態がわかってはじめて、抜去だけにするのか、何を一緒に行うのかが決まります。
当院は抜去をおすすめもしませんし、引き止めもしません。ただ、抜いたあとどんな形になるのかを正確に知ったうえで決めていただきたいと思っています。戻しにくい選択ですから。



抜去だけにするのか、入れ替えるのか
同じ手術台の上で分かれる二つの道です。問題がインプラント自体(破損、経年)にあってボリュームは保ちたいのなら、入れ替えが自然です。逆にボリュームそのものをもう望まれないなら、抜去で終えます。その中間で悩まれる方がいちばん多いです。
判断の基準は一つです。今つらいのはインプラントのせいなのか、ボリュームのせいなのか。硬さと痛みが問題なら、被膜を整理して新しいインプラントに替えるだけで解決する場合がありますし、大きさと重さ自体が負担なら抜去が答えです。相談ではまずここを分けてご説明します。
抜去すると決めたら併せて決めること
「ただ抜くだけ」はありません。以下の四つが抜去手術の実際の中身です。
被膜をどうするか
インプラントの周りにできた被膜を残すか、一部だけ整理するか、完全に取り除くかが最大の決定です。状態によって必要な範囲が変わります。
残る皮膚をどうするか
インプラントが占めていた空間が空くと皮膚が余ります。そのままにして時間を見るか、リフトで整えるかは状態を見て判断します。
切開をどこにするか
可能であれば以前の切開を再利用して、新しい傷を作らない方向を優先します。ただし被膜処理の範囲によって変わることがあります。
補いが必要か
抜去後に陥凹や輪郭の問題が予想される場合は、脂肪移植などの補完方法も一緒に検討します。必要なければおすすめしません。
被膜の処理、範囲は状態が決めます
被膜はインプラントが入ったあとに体が作った膜です。全部取るのがよいわけでも、そのままにするのがよいわけでもありません。
| 処理範囲 | どんな場合に検討するか | 考慮する点 |
|---|---|---|
| そのまま残す | 被膜が薄く柔らかく、問題を起こしていない状態 | 手術範囲がいちばん小さく、回復が早いです。 |
| 部分切除 | 一部だけ厚くなっている、または石灰化が局所的にある場合 | 必要な分だけ整えることで組織の損傷を抑えます。 |
| 完全切除 | 被膜拘縮が強い、破損で内容物が広がった、または被膜自体に異常所見がある場合 | 手術範囲がいちばん大きく、回復に時間が必要です。院長の診療範囲に含まれる領域です。 |
抜去後の形、正直に申し上げます
インプラントを抜けばその体積のぶん減ります。当たり前の話ですが、実際にご覧になると想像より大きく感じられることが多いんです。皮膚が伸びていた状態なので最初の数週間はたるみが目立ち、その後の数か月である程度縮みます。ただ、手術前とまったく同じ状態には戻りません。
どこまで戻るかは、年齢、皮膚の弾力、インプラントが入っていた期間、もともとの組織量によって大きく違います。ですから当院は「元どおりに戻ります」とは申し上げません。代わりに相談で今の皮膚と組織の状態を見て、予想される範囲をできるだけ具体的にご説明します。
たるみが予想され、それが受け入れにくい程度であれば、抜去と同時にリフトを行う方法があります。逆に時間をおいて様子を見て、必要なら後から決めるのも方法です。二つの選択の長所短所を相談で一緒に並べて見ます。
決める前に確認していただきたいこと
抜去は戻しにくい選択です。以下を確認しておけば、後悔の余地が減ります。
- 今つらいのがインプラントのせいかボリュームのせいか。原因が違えば答えも違います。
- 今のインプラントと被膜の状態。超音波で確認してから始める必要があります。
- 抜去後に予想される形。写真や説明であらかじめご理解いただけているか。
- リフトを一緒に行うのか、後で見るのか。二つの選択の違いを聞かれたか。
- 回復に必要な期間。被膜処理の範囲が大きいほど長くなります。
- また入れる可能性があるか。あるなら、その可能性を残す方向で設計できます。
抜去はこのように進みます
海外からお越しの場合、以前の手術情報をご存じなほど正確になります。ご存じの範囲だけお知らせいただければ大丈夫です。
- 01
オンライン相談:以前の手術情報の確認
インプラントの種類、手術の時期、今の症状とお写真をお送りいただければ、可能な方向と必要な検査、日程の輪郭をまずご案内します。
- 02
来院検査:状態の診断
乳房超音波でインプラントと被膜の状態を確認し、必要なら追加の検査を行います。ここで被膜処理の範囲が決まります。
- 03
抜去手術
麻酔科専門医が麻酔を担当し、決めた範囲どおりに抜去して、必要な補完を同時に行います。
- 04
回復と帰国後の確認
ご滞在中に経過を確認し、ご帰国後もオンラインで回復の過程を続けて拝見します。形は数か月かけて変わります。
抜去後の形を決めるのは四つです
同じ手術をしても結果が分かれる理由です。相談ではこの四つを測ったうえで、予想される形をお伝えします。
| 条件 | 有利に働く場合 | 不利に働く場合 |
|---|---|---|
| 皮膚の弾力 | 弾力が残っていれば抜去後に皮膚がある程度縮みます | 弾力が落ちていると余った皮膚が下垂として現れます |
| ご自身の乳腺組織の量 | 組織がある程度あれば抜去後も形がまとまります | 組織が薄いとボリュームの減少を大きく実感します |
| インプラントの大きさ | 小さいインプラントほど抜去前後の差が小さくなります | 大きいインプラントはその分だけ広がった空間が残ります |
| 入れていた期間 | 期間が短ければ組織の変化は少なくて済みます | 長く入れていた場合、組織は押された状態に慣れています |
抜去と併せて検討する補完
抜去だけでは望まれる形にならないと判断される場合、以下を一緒にご相談します。必ず行うものではありません。
挙上の同時進行
余る皮膚が多くたるみが予想されるとき、乳頭の位置と皮膚を一緒に整えます。傷が増えるので、得失を並べて見ます。
脂肪移植の併用
ボリュームを少し残したいときにご自身の脂肪を使います。インプラントほどのボリュームは代替できず、生着率にも個人差があります。
人工真皮による補強
被膜を完全に取り除いたあと、組織が薄く補強が必要なときに検討します。
段階を分ける
まず抜去だけを行い、数か月後に組織が落ち着いた状態で次を決める方法です。急ぐ理由がないときは、いちばん安全な選択です。
症状がなくても破損は進みます
シリコンジェルインプラントの破損は、その多くが症状のないまま進みます。ジェルに凝集力があるため、殻が裂けても形が大きく崩れないからです。痛くもなく形もそのままなので、ご本人にはわからない状態が続きます。
ですから抜去を考えてお越しになった方に当院がまず行うのは超音波です。破損が確認されれば判断が変わります。時期を早める必要がありますし、被膜処理の範囲も広がる可能性があり、内容物が被膜の中に残っていれば開け方そのものを変えて計画します。
逆に破損がなければ急ぐ必要はありません。今決めずに定期検診で見ながら、時期をお選びになっても大丈夫です。確認しないまま決めることだけ避けていただければ十分です。
抜去が解決すること、しないこと
抜去でなくなるものははっきりしています。インプラントが作っていたボリュームと重さ、インプラントと被膜から来る硬さと痛み、そして破損や位置異常といったインプラント関連の問題です。
抜去してもそのまま残るものもあります。以前の手術の傷あと、左右差のうちもともとあった部分、そして年齢と出産による組織の変化です。これらは抜去の対象ではなく、別に判断すべき問題です。
全身症状が抜去でよくなるかどうかについては、当院が申し上げられる根拠がありません。根拠が確立されていない領域なので、よくなるとも、無関係だとも断定しません。当院にできるのは、インプラントと被膜の状態を正確に確認してお伝えし、抜去を決められたなら安全に行うことです。相談でもその線を越えて申し上げることはしません。
回復の間に見ていただきたいこと
ほとんどは自然な経過です。ただし以下はご連絡いただきたい合図です。
- 片側だけ急に腫れる、または大きさが目に見えて変わる
- 手術部位が赤くなり熱感が出て痛みが強くなる
- 体温が上がり悪寒がある
- ドレーンや浸出液の量が減らず、むしろ増える
- 縫合部が開く、または色が変わる
- 胸の形が数か月かけて変わるのは正常です。最終的な判断はそのあとに行います
抜去後、形が落ち着いていく流れ
期間は人によって違います。ただどんな順番で変わるかを知っておかれると、途中で驚かれることが減ります。
| 時期 | この時期の形は | このときにされるとよいこと |
|---|---|---|
| 術直後 | 腫れと圧迫で実際の形が分かりにくいです | 案内された下着を守り、傷を刺激しません |
| 腫れが引いていく間 | 思ったより小さく見える時期です | この時期の形で結果を判断しません |
| 数か月かけて | 皮膚が縮んで輪郭が変わっていきます | 経過写真を残しておかれると比較が楽です |
| 落ち着いた後 | ここで見えるものが基準になる形です | 補いが必要かはこの時点で改めて相談します |
他院で受けられた手術でも診ます
他院で手術を受けられた後のご相談がこちらの主要な診療分野です。抜去だけを受けにいらっしゃるのも構いませんし。その病院にまた行きにくいご事情がある方が実際に多いです。
手術記録がなくても診療は可能です。乳房超音波でインプラントの状態と被膜、破損の有無を確認し、必要であればマンモトームまで検討します。覚えていらっしゃる情報があれば教えていただき、なければないまま検査で確認します。
確認した内容は、抜去されるかどうかにかかわらず整理してお渡しします。今抜かれる状態ではないと判断すれば、そう申し上げますし。検査だけ受けて決定は後になさっても結構です。
決断の前によく伺うお話
相談で実際に出るお話です。一人で悩んでいらっしゃる方が多いので、あらかじめ書いておきます。
周りに言いにくい
入れるときは相談したのに、抜くとは言いにくかったという方が多いです。相談内容は診療目的でのみ扱いますので、気楽にお話しくださって構いません。
戻せない気がして怖い
抜去して後からまた入れることは可能です。ただ組織が一度変わった後なので、そのときに改めて計画を立てる必要がありますし。その点を知って決められれば大丈夫です。
形がどうなるか分からない
これが一番心配されるところです。ですのでこちらは抜去後の形を決める要素を先にご説明して、見込まれる範囲を申し上げてから決めていただきます。
今抜くのが正しいのか分からない
決断を急がれなくてよい場合が多いです。ただ破損が確認されていたり、痛みと炎症がはっきりしていれば、待つほうが不利です。その区別からして差し上げます。
急がなくてよい場合と、急がれるべき場合
ほとんどは時間をかけて決められて構いません。あと数か月考えられても状態が大きく変わらない場合が多いですから。体重が大きく変わっている最中だったり出産のご予定があれば、むしろその後のほうがよいこともあります。
逆に待つほうが不利な場合もあります。破損が確認されたとき、痛みや炎症がはっきりしているとき、そして短い期間に形や大きさが目に見えて変わったときです。こういうときはこちらも速く判断して差し上げます。
どちらなのかは触るだけでは分かれません。超音波で確認して初めて、今が待ってよい状態かが決まるんですね。ですので決断を先延ばしにされるとしても、検査は先に受けておかれるよう申し上げます。
インプラント抜去について最も多いご質問
- 抜くだけで何も入れなくてもいいですか?
- もちろんです。抜去で終えることも一つの完結した選択です。ただ、抜いたあと形がどうなるかを先にご理解いただいたうえで決めていただけるよう、相談で予想される変化を具体的にご説明します。
- 被膜は必ず完全に取らなければいけませんか?
- いいえ。被膜の状態によっては、そのままにするほうがよい場合もあります。完全除去は手術範囲が大きくなり回復も長くなりますので、必要な状態のときに行うのが原則です。超音波で確認したうえで範囲を決めます。
- 抜去すれば胸は元どおりになりますか?
- まったく同じ状態には戻りません。皮膚は数か月かけてある程度縮みますが、年齢や弾力、インプラントが入っていた期間によって結果が大きく違います。当院は「元どおり」という表現を使わず、予想される範囲をお伝えします。
- 片側だけ抜去できますか?
- 可能です。ただ左右差が生じますので、その状態を受け入れられるか、それとも反対側も一緒に整理するかを相談で一緒に判断します。
- 抜去して後からまた入れられますか?
- 可能です。また入れる可能性があるなら、あらかじめお知らせください。その可能性を残す方向で設計できます。ただ時間が経つほど組織の状態が変わりますので、条件はそのときに改めて見る必要があります。
- 海外から行く場合、何日あればよいですか?
- 被膜処理の範囲によって大きく変わります。完全除去やリフトを一緒に行う場合は回復にもっと余裕が必要です。日程を組まれる前に、オンライン相談で予想される範囲を先に確認されるほうが安全です。
- 他院で受けた手術ですが、抜去だけ受けに行ってもいいですか?
- 大丈夫です。他院で手術を受けられた後のご相談がこちらの主要な診療分野です。その病院にまた行きにくいご事情がある方が実際に多いですし。確認した内容は、抜去されるかどうかにかかわらず整理してお渡しします。
- 手術記録がないのですが大丈夫ですか?
- 大丈夫です。乳房超音波でインプラントの状態と被膜、破損の有無を確認し、必要であればマンモトームまで検討します。覚えていらっしゃる情報があれば教えていただき、なければないまま検査で確認します。
- 抜去後、形が落ち着くまでどれくらいかかりますか?
- 期間は人によって違い、こちらが数字で断定して差し上げることはしません。腫れが引きながら小さく見える時期を過ぎ、皮膚が縮んで輪郭が変わっていきます。最終判断は数か月後、落ち着いてからなさるのが正確です。
- 今抜くべきか、もう少し待つべきか分かりません。
- ほとんどは時間をかけて決められて構いません。ただ破損が確認されていたり、痛みと炎症がはっきりしていたり、短い期間に形が目に見えて変わったのであれば、待つほうが不利です。この区別は超音波で確認しないと分かれませんので、決断を先延ばしにされるとしても検査は先に受けておかれることをお勧めします。
抜去と併せてご覧いただきたい案内
いまの状態を確認してから決めましょう
以前の手術情報とお写真が数枚あれば始められます。抜去が合う選択なのか、入れ替えのほうがよいのか、おすすめすることなく状態そのままをご案内します。
